<検査>

1)血液・尿検査

2)画像検査

  超音波(エコー)検査、単純レントゲン検査、MRI、CT、MIBGシンチ検査、骨シンチ

3)骨髄検査

4)生検・病理診断

  確定診断は腫瘍摘出術や生検術で採った腫瘍組織を顕微鏡で診断(病理診断)して決定します。

<病期(ステージ)>

ステージとは、がんの進行の程度を示す言葉で、神経芽腫の予後は病期によるところが大きいため、初診時の病期の決定はその後の治療方針を決定するために重要です。病期は原発腫瘍の広がりや骨、骨髄などの転移巣の有無によって決定します。INSS(国際病期分類)は、大きく、1、2(2A、2B)、3、4、4Sに分類されます。

 

※ こちらに書かれた治療は標準的プロトコールです。お子さまの治療がどのように進められていくのかは、主治医からプロトコールをもらって下さい。

 

<治 療>

主に外科治療、抗がん剤治療、放射線治療の3つの治療の組み合わせで行われますが、患者さんの年齢、病期、腫瘍自体の悪性度によりその組み合わせ方やそれぞれの治療の強さは異なります。

 

1)手術治療

手術の役割は、大きく2つに分かれます。

1つは、神経芽腫の確定診断のためとその悪性度を判定するために、腫瘍の一部を切除して調べる手術(生検)です。

もう1つは腫瘍を肉眼的に全部切除する腫瘍全摘出術です。

2)抗がん剤治療(化学療法)

i)低リスク腫瘍

低リスク群(病期1やMYCN遺伝子が増えていない乳児例の4Sや、2A、2B)の神経芽腫の治癒率は非常に良好で、治療は基本的に手術のみです。病期4Sで肝腫大が著明な場合は緊急照射を行います。2A、2Bの場合、画像診断で臓器障害、血管損傷を伴わず摘出が可能なら手術を行い経過観察になります。臓器障害、血管損傷が懸念される場合は、化学療法を先行させ、3コース毎に評価を行い、腫瘍マーカー陰性なら治療終了、腫瘍マーカー陽性の場合で侵襲無く手術可能なら手術で腫瘍摘出、最大9コースの化学療法を行い治療終了となります。乳児で3期でMYCN陰性ならばわが国の成績が良好であることを考え低リスクとして治療します。

ii)中間リスク腫瘍

(基本的に化学療法は最大5回、放射線治療は特に規定せず施設判断で行われます)

限局性腫瘍の場合

一般的に始めに腫瘍を全摘出することは困難なので、1歳半までのMYCN陰性すべての場合は中間群とし、まず始めに2コースの化学療法を行い、画像診断で臓器障害、血管損傷を伴わず摘出が可能なら手術を行い経過観察します。腫瘍が画像上消失しても腫瘍マーカー陽性や画像上腫瘍が残存し臓器障害、血管損傷が懸念される場合は、化学療法を先行させ、3コース毎に評価を行い、臓器障害なく腫瘍摘出可能なら手術をして経過観察します。腫瘍が残存してもMYCNを含めた腫瘍マーカー陰性なら治療終了し経過観察します。腫瘍マーカー陽性の場合で化学療法3コース毎に評価し、侵襲無く手術可能なら手術で腫瘍摘出、MYCNを含めた腫瘍マーカー陽性の場合は最大9コースの化学療法を行い腫瘍摘出し、以後は治療終了とし経過観察します。

始めに転移のあった場合

まず始めに3コースの化学療法を行い、画像診断で腫瘍が消失し、腫瘍マーカー陰性なら化学療法を2コース行い経過観察します。臓器障害、血管損傷を伴わず摘出が可能なら手術を行った後、化学療法を2コース行い経過観察します。画像上腫瘍が残存し臓器障害、血管損傷が懸念される場合は、化学療法を1コース行う毎に評価を行い、腫瘍が消失し、腫瘍マーカーも陰性化するか臓器障害なく腫瘍摘出可能なら手術をして、その後、1コースの化学療法を行った後、経過観察します。腫瘍が残存してもMYCNを含めた腫瘍マーカー陰性なら治療終了し経過観察します。計5回の化学療法後にも腫瘍が残存し、手術による臓器障害、 血管損傷が考慮される場合は施設判断での個別的治療を行います。

iii)高リスク腫瘍

この群は全てのMYCN遺伝子増幅と1歳以上の4期および3期の1歳半以上でMYCNは増幅していないが、組織型が予後不良の場合。治療は今までと大きく変わらず、5回の化学療法後、自家造血幹細胞救援療法を含めた大量化学療法を行い、最後に放射線治療を行います。