5周年記念イベント「公開セミナー」報告

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 国立成育医療研究センター 小児がんセンター共催で、同センター内講堂にて公開セミナーを開催しました。

 

第一部は、国立国際医療研究センター病院 小児科診療科長 七野 浩之先生の司会進行のもと、以下3名の先生方にご登壇いただきました。

 

 「神経芽腫に対する治療開発(治験)」

大阪市立総合医療センター 小児医療センター長・副院長 原 純一先生

 「神経芽腫の標準治療と長期フォローアップ(レチノイン酸について)」

 国立成育医療研究センター 小児がんセンター長 松本 公一先生

 「神経芽腫に対する薬剤開発」

 東京医科歯科大学医学部附属病院 小児科准教授 髙木 正稔先生

 

神経芽腫の治療開発、治療、薬剤開発を、一日でお聴きできるという貴重なセミナーでした。各先生方に20分間のご講演をいただき、その後10分間の質疑応答では、活発な質問があがり、普段病棟や診察室ではなかなか聞くことの出来ない、疑問や不安、情報を、医療者と患者家族が皆で共有できた大変有意義な時間でした。そして、日本における神経芽腫に対する治療戦略の変遷をお聴きし、治療に対する考え方、治験や治療のデザインに対し、セカンドオピニオンの重要性も強く感じました。

先生方におかれましては、大変お忙しい中、ご講演の準備とご予定の調整をしていただき、本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

※ご講演内容の詳細に関しましては、お時間をいただきまして別途、ご報告いたします。

 

 

 

 

公開セミナーと同時に別室にて子どもたちの保育を行っておりました。保育は3グループに分かれて交流を深め、センター内の豆の木というプレイコーナーで遊んだり、スライムづくりなどの科学実験を通して、夏休み最後の楽しい時間を過ごせたかと思います。皆、夢中でさまざまな実験に、目を輝かせていました。

 

公開セミナーの後、第二部では、患者家族同士の交流会を行いました。同時に、別室ではご登壇いただきました先生方に、グループで個別の質問をさせていただく機会を得ることができ、ご参加の皆様も熱心に先生方にご質問してくださいました。

 

患者家族の交流会では、それぞれのテーマに分かれて自由に出入りして交流していただくスタイルをとりました。交流会への参加にはとても勇気がいることを、私たちは知っています。ご自身のお気持ちを大切にしていただくことが1番です。無理をして人とつながることはしなくてもいいと考えています。それでも、場があることで孤独を感じたときに「ひとりじゃない」そう、思えることが、1歩を踏み出すきっかけになれればと、そんな想いで私たちは存在しています。交流会では、会の活動にも参加協力してくれているサバイバーの男性の輪が大変人気でした。きっと彼の姿に、わが子の未来を感じて勇気に変えてくれたのだと思います。

 

交流会と同じスペースでは、子どもたちのためのワークショップも開かれました。会として行っているレモネードスタンドでは、小児がんの啓発活動と同時に、子どもたちが何か行動を起こして自信につなげてくれること。また、その活動を通して、子どもたち同士の繋がりをもってほしいという願いで、発足当時から不定期で開催しています。また、ゴールドリボン(小児がんのシンボルマーク)グッズづくりや、クッキーづくりと子どもたちが楽しめるワークショップをご用意しました。どれも、サバイバーの子どもたちが積極的に参加してくれたり、クッキーづくりでは、同じく神経芽腫のお子さんを持つママさん(MARI’S FACTORY)にご協力を得ました。

 

ほとんどの方々が、まだ治療中であったり、見えない未来に不安を抱えていらっしゃる中でご参加いただきましたので、私たちの活動目的にそぐわないと、不快な思いでお帰りの方々もいらっしゃったかもしれません。それでも、私たちはお一人でも「来てよかった。」そう思っていただけたら、こんなにうれしいことはありません。絶望し、不安と戦い、涙で何も見えなくなった日のことを、私たちは忘れません。心を閉ざし、誰の声も受け入れられなくなった日もありましたが、それでも、遠い未来ではなく、少し先をみることができた日の小さな繰り返しが、今に繋がっていると思うのです。

 

今回のような大きな交流会では、心の置き場を見つけにくく、参加しづらかった方々もいたかもしれません。それでも、先生方の貴重なお話が伺えるということが背中を押してくれたのだと思います。そして、私たちの存在を知ってくださった。その次は、ぜひ小さな交流会で、苦しい胸の内を吐露しにきてください。泣ける場所が私たちには必要です。「話すことは手放すこと。」

 

ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。また、貴重なお時間を頂戴しました先生方には、心より感謝申し上げます。加えて、多くのボランティアスタッフの皆様のご協力を得て開催することができました。

本当に、本当にありがとうございました。

共同代表 関口

     浦尻